てんこ

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観世会 平成22年9月12日 
能「天鼓」弄鼓之舞

平成11年9月23日 第5回賀茂川荘薪能 

 「天鼓」をさせて頂くたびに思うことは、彼は何才ほどであろうか、ということです。彼が鼓を打てば「その声妙にして,聞く人感を催せり。」という少年。これは修練を積み重ねて、技量を磨き、上手になったというものではないでしょう。幼い子供の所作、声などは、その純真、無邪気が見る人に感を催させることが、しばしばあります。天鼓はそのような子供ではなかったか、と思います。
 天鼓の鼓のことを聞いた帝が、その鼓を召し上げようとしたので、天鼓は鼓を抱いて山中に隠れたのですが、純真無垢の子供ならば、当然そうするでしょう。その結果、天鼓は捕らえられ、呂水に沈め、殺されてしまいます。
 前場に登場する、天鼓の父、王伯の悲しみ。彼は、勅命を背いた者の父として、「わが子の為に失われんは、それこそ老の望みなれ」と、罪に沈むことを覚悟し、内裏に召され鼓を打ちます。

 後場に登場する天鼓の亡霊は、無邪気に鼓を打ち、舞い戯れます。殺されたことに恨みも言わず、ただ嬉しい、面白いといって、舞い戯れるのです。
 「天鼓」をさせて頂く度に、子を持つ親として、ものをおもわずにはおれません。
                     上田拓司